プリントヘッドシステム
工業用インクジェットプリントヘッド
Epson T3200 インクジェットプリントヘッドを採用。1ヘッドで4色を同時に吐出し、有効印刷幅は67.2mmです。ピエゾアクチュエーターの高周波駆動により大きなインク滴も安定して吐出し、内蔵ヒーターがUVインクとの適性を高めます。
メディア厚自動測定機能
メディア厚を自動測定してプリントヘッド高さを調整し、ヘッドの擦れを防いでダウンタイムを削減します。
静電気防止システム
印刷中にメディア表面で発生する静電気を除去し、インクミストの飛散を抑えて画質を安定させます。
ノズル衝突防止装置
キャリッジ両側の衝突センサーがメディアの反り、傾き、不意の接触を即座に検知し、プリントヘッドとメディアの接触を防ぎます。
最先端のLED-UV硬化方式
2段式LED-UVランプが高速印刷時の硬化ムラとUVバンディングを抑え、局所的な過熱によるメディアの変形も防ぎます。グロス印刷ではくもりのない透明感のある質感が得られます。
プリントヘッドの選択
1ヘッドで4色
プリントヘッドは、プリンターメーカーが他の部分で埋め合わせることのできない唯一の部品です。下流のすべてがこれを軸に決まります——ケーブルの本数、ドライバー基板の枚数、インク経路と負圧回路の数、据付時の色間アライメント工程の数、そしてお客様がこの先10年間に抱える補修部品の種類まで。T3200はCMYK一式を1ヘッドに収めます。変わるのは仕様書の一行ではなく、機械全体の構造です。
1インチに何個のノズルが入るか
意味のある比較は、4色機における1色あたりの密度です。
密度は、同じ画質を得るのに必要なパス数を決めます。4色構成では、T3200は各色にRicoh Gen6の2倍のノズルを割り当てます。この余裕はどちらにも使えます——同じ仕上がりを少ないパスで仕上げるか、同じ速度でより細かい網点を出すか。
密度は、機械に必要なヘッド数も決めます。1色あたり150しかないヘッドでT3200の300 npiに追いつくには、ヘッド数を倍にして精密に重ねる必要があります。そしてヘッドが1個増えるたびに、ケーブル1組、ドライバー基板1枚、インク経路1本、そしてアライメント工程が1つ増えます。
CMYK1組に、ヘッドは何個必要か
1つのヘッドが何色を担えるかは、1色あたりの密度がどこまで許すかで決まります。この数字ひとつが配置全体を決め、その配置が引きずるすべてを決めます。
T3200は1つの筐体でCMYKを、1色あたり300 npiで処理します。Ricoh Gen6はその密度では1ヘッドあたり2色となるため、CMYKに2個必要です。Konica KM1024aは単色ヘッドなので、CMYKには4個必要になります。
ヘッド数は単独の数字ではありません。4ヘッドとは、ケーブル4組、ドライバー4系統、インク経路4本、負圧回路4系統、位置合わせ4箇所、清掃4箇所、そしてお客様の部品棚に並ぶ4つの型番を意味します。
ヘッド数は各社が公表している1色あたり密度から算出しています。数値は下の比較表と同じ出典です。
画質の差はどこから来るか
2色ずつを担う2つのヘッドは、互いに位置を合わせる必要があります。据付時に機械的に、そしてヘッドを交換するたびにもう一度。同じシリコンから出る4色には、その作業がありません。
据付時
複数ヘッドの機械では、まずヘッド間の間隔機構を設計し、その後1個ずつ手作業で位置を追い込みます。T3200は精密基準穴で位置決めします。取り付ければ、4色はあるべき位置にあります。
長期使用のなかで
温度サイクル、振動、摩耗によって、別々に取り付けられたヘッドは互いにずれていきます。このずれはエッジのカラーフリンジとして現れ、オペレーターは再キャリブレーションで補正することになります。同一ダイ上の色は一緒に動くため、ずれようがありません。
ヘッド交換時
4ヘッド機で1個を交換すれば、残る3個に対して位置を合わせ直すことになります。T3200機なら交換するヘッドは1個、位置合わせ工程はありません。当日中に駆けつけられないお客様ほど、この差は大きく効きます。
高密度ノズル構造
すべてはPrecisionCoreのMEMS薄膜ピエゾ製造プロセスから始まります。MEMS製造により、同じヘッド体積の中に同クラスの他社製品よりはるかに多くのノズルを収められます。またEpson独自の精密なノズルとインク流路の形状により、すべての液滴が真円のまま射出され、狙った位置に着弾します——3,176個の有効ノズルすべてで、一貫して。
ヘッドには1/300インチピッチのノズル列が4列あります。2列を千鳥に配置すると実効ピッチは半分の1/600インチになります。これが600 npiの由来であり、4色でもそれぞれ300 npiを保てる理由です。
図版出典:Epson PrecisionCore 公式技術資料。
吐出モードは2種類
同じヘッドで高速のバイナリモードと4階調グレースケールモードを使い分けられます。どちらを使うかは設定の問題であり、機械を替える話ではありません。
バイナリ — 7.5 pl @ 48 kHz
液滴サイズは1種類、吐出頻度は2倍。レベル7出力を支えるモードです。バナー、ターポリン、遠距離から見るもの——階調の最後のひと押しより生産性が効く用途に向きます。
グレースケール — 6.2/9.5/15.6 pl @ 24 kHz
Epson独自の可変ドロップレット技術(VSDT)により、同じノズルから3種類の液滴量を吐出できます。小さい液滴はハイライトの網点を細かく保ち、大きい液滴はベタに十分なインクを載せ、中間サイズが移り変わりを受け持ちます。グラデーションが滑らかに保たれる——電飾フィルムや軟包装が評価されるのは、まさにこの点です。
T3200を採用している6つの理由
1ヘッドで4色
従来の4色構成は2色ヘッドを2個組み合わせます。T3200は1個でCMYKを吐出します。精密加工された基準穴で位置決めするため、ヘッド間の間隔機構を設計する必要も、据付時に1個ずつ調整する必要もありません。ケーブル、ドライバー基板、インク経路、負圧回路もあわせて簡素化されます——BOMと組立工数にそのまま表れる差です。
4色でも密度が落ちない
2列千鳥で600 npi、3,200ノズル。4色に分けても1色あたり300 npiを保ちます。Ricoh Gen6で4色を行うと1色あたり150 dpiです。同じ1ヘッドで密度が2倍——これがそのままパス数の削減と出力速度の向上になります。
ヒーター内蔵、外部循環不要
T3200はPrecisionCoreシリーズで初めてヒーターを内蔵したヘッドで、高粘度UVインクを安定して吐出できます。しかも外部循環システムを必要としないため、機械側のサブシステムが1つ減ります。室内環境がどう変化してもヒーターが温度を保ちます。2026年4月のT3200-U3-2では上限を50°Cに引き上げ、使用できるインクの範囲がさらに広がりました。
色間アライメント誤差がゼロに
複数ヘッドで4色を構成すると、熱変形、振動、経年摩耗が色ずれとして蓄積し、現場で調整を繰り返すことになります。1ヘッド4色にはその故障モード自体がありません——長期の色安定性が高く、メンテナンス工数も減り、海外のお客様にビデオ通話で説明する項目が1つ減ります。
産業機器としての作り
金属筐体が、産業印刷で発生するインクミストから電子部品を守ります。基準穴により、ヘッドは再調整なしで交換できます。PrecisionCoreの耐久性も仕様書上の主張ではありません——Epsonが自社の産業用プリンターで実証したうえで、当社の機械に載ります。
成熟したエコシステム
T3200-U3は2021年7月の発売以来、サイン出力の現場で広く使われています。実務上は、アジア圏で補修部品が手に入りやすく、技術者が習熟しており、インク処方の対応もRIPプロファイルも揃っているということです。新機の立ち上げにかかる調整時間は、採用例の少ないヘッドより明らかに短くなります——それは当社のコストだけでなく、お客様の最初の請求書に表れます。
仕様比較
| 項目 | Epson T3200-U3(-2) | Ricoh Gen6 MH5320/5340 | Konica KM1024a |
|---|---|---|---|
| ノズルと密度 | |||
| ノズル数 | 3,200 (net 3,176) | 1,280 (4 × 320) | 1,024 (256 × 4) |
| ノズル列数 | 4 列 | 4 列 | 4 列 |
| ノズルピッチ | 1/300 インチ | — | — |
| ノズル密度 | 600 npi(2 列) | 600 dpi(単色) | 360 dpi |
| 1ヘッドの最大色数 | 4 色 | 2 色/4 色 | 1 色 |
| 4色時の1色あたり密度 | 300 npi | 150 dpi | 360 dpi(4ヘッド必要) |
| CMYKに必要なヘッド数 | 1 ヘッド | 1〜2 ヘッド | 4 ヘッド |
| 有効印字幅 | 67.2 mm | 54.1 mm | 72.08 mm |
| 吐出性能 | |||
| グレースケールモード | 6.2 / 9.5 / 15.6 pl @ 24 kHz | 5–15 pl @ 26.5 kHz | 6/12/20 pl @ 22 kHz |
| バイナリモード | 7.5 pl @ 48 kHz | 5 pl | 13 pl(1024i) |
| 対応粘度 | 7–8 mPa·s | より広い | より広い |
| ヒーター内蔵 | あり(U3-2 は 50°C まで) | あり | あり |
| インク循環 | 不要 | あり | あり |
| 構造 | |||
| 位置決め方式 | 精密基準穴 | — | — |
| 筐体 | 金属 | — | — |
| 外形/質量 | 113.4 × 52.0 × 30.4 mm / 328 g | 89 × 25 × 69 mm / ~228 g | 131 × 18 × 97 mm / 150 g |
Epsonの数値は公開データシート「Inkjet Head T Series」(2022年6月17日版)およびEpsonの2026年2月更新より。Ricoh・Konica Minoltaの数値は各社公式製品ページより。ダッシュはメーカーが当該項目を公表していないことを示します。価格と供給条件は流通経路・数量・地域による差が大きいため、比較には含めていません。
2026年の新版。既存機はT3200-U3-2にそのまま載せ替えられます。外形寸法、電気インターフェース、吐出性能はU3と同一で、機構の変更は不要です。加熱上限が50°Cに上がり、より高粘度のUVインクに対応——補修ヘッド1個のコストで、インク適合範囲の拡張が得られます。
キャリッジ・制御システム
マルチゾーンバキューム吸着
吸着エリアを切り替えられるマルチゾーンバキュームテーブルにより、印刷サイズとメディア幅に応じて最大5つの独立ゾーンを選択できます。精密目盛付きで位置合わせが容易、薄手や軟質のメディアでも反りやシワを抑えて安定させます。
THK ダブルリニアガイドシステム
THK製ダブルリニアガイド、EGUSケーブルベア、高剛性キャリッジビームにより走行精度を0.02〜0.05mmに保ち、厳しい生産条件でも安定した性能を発揮します。
操作・安全システム
シグナルランプ付
離れた場所からも見やすいシグナルランプで、印刷中・待機・インク補充・エラーといった稼働状態をひと目で把握できます。
PM7 と RIPソフト
直観的なインターフェースで、印刷モードの設定、カラー調整、ノズルクリーニングを簡単に行えます。主流のRIPソフト(ONYX または CALDERA)に対応します。
ライトボックス搭載
印刷エリア前面に配置されたライトボックスで出力品質をその場で確認でき、メディアの無駄と時間のロスを最小限に抑えます。
インク・供給システム
淡色インクとホワイトインク対応
ライトシアンとライトマゼンタが粒状感を効果的に抑え、近距離で見る用途や高解像度の画像に適しています。高隠蔽性のホワイトインクは、透明・有色メディアの下地としても使用できます。
ホワイトインク循環システム
専用の循環機構が沈降と目詰まりを防ぎ、プリントヘッドの性能を安定させてメンテナンス負担を軽減します。